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ステンレス鍋はIHで使える？

　IHで使える鍋と使えない鍋があるというのは、もうほとんどの人が知っていることだと思います。アルミ鍋や銅鍋、土鍋などが使えないというのはよく知られていますね。よく勘違いされやすいのは「ステンレス鍋」です。
実は、ステンレス鍋といっても様々な種類があります。
IHで使用するには、“磁石がくっ付くステンレス”でなければなりませんが、ではなぜ磁石が付かないステンレスはIHでは使えないのか。そもそもステンレスの種類とは何かを説明していきたいと思います。

ステンレスの種類

　ステンレスにも様々な種類があるのを知っていますか？
ご家庭にあるステンレス製のもの…例えばスプーンやフォークの裏側を見てみてください。
よく、「18-0」とか「18-8」とか「18-10」と書かれています。
これがステンレスの種類を表す表記です。

一般的にステンレスと呼ばれているのは、Stainless-Steel（さびない鉄）の事で、鉄にクロームを混ぜ、さびにくくした鉄合金のことをいいます。
鉄に18％のクロームと8％のニッケルを混ぜたものが『18-8ステンレス』と呼ばれ、JIS記号ではSUS304と表記されています。
また、鉄に18％のクロームだけを混ぜニッケルが含まれていないのが『18-0ステンレス』で、JIS記号ではSUS430と表記されます。
これ以外にも少しずつ違う金属を混ぜた様々な種類のステンレス合金があるのですが、調理器具に良く使われているのは、ほぼこの2種類の系統のステンレス合金と思って差し支えないでしょう。

IHに適したステンレス鍋とは

　実は、この『18-8ステンレス』と『18-0ステンレス』はほんの少ししか違わないように思われるのですが、性質は全く異なります。
『さびにくい』という特徴は同じですが、大きな違いが、鉄の合金でありながら『18-8ステンレス』は磁石にくっつかず、反対に『18-0ステンレス』は磁石にくっつくのです。　
磁石にくっつくという事は、『磁力線に反応している』という事になり、磁場を発生させて鍋底を抵抗として発熱させるＩＨヒーターに反応するという事になります。
ですので、磁石にくっつかない『18-8ステンレス』は磁場が発生せず、鍋底が抵抗となって発熱することもできないので、『ＩＨヒーターでは使えない鍋』という事になります。
つまり、ニッケルの含まれているステンレス合金はＩＨに反応しないのです。
簡単に見分ける方法は、例の『18-8』の数列○○-○○の後ろ半分の数字が０(ゼロ)であれば、ニッケルは含まれていないという事で、ＩＨに使える鍋という事になります。
よく『ＩＨ対応多層鍋』を見かけますが、どのような構造の鍋かというと・・・なべ底の熱をより早く側面まで広げようという意図で、表面の磁場に反応するステンレス材に、ステンレスより熱伝導の良いアルミを張り付けてある構造の鍋です。　たいていの多層鍋は『ＩＨ対応』になっていますが、まれに『ガス専用』がありますので注意してください。　多層鍋の場合は、一番外側の金属がＩＨに反応します。　ほとんどの多層鍋では、一番外側に、18-0ステンレス（＝ＳＵＳ４３０）というステンレスが使われています。